協会写真展「光と空間・建築の美」パート11 新潟展開催
昨年、全国各地(東京・大阪・名古屋・福岡)の富士フォトサロン巡回展示した、日本建築写真家協会写真展は、2016年4月19日㈫~25日㈪の日程で新潟県長岡市「アオーレ」で開催された。
隈研吾の設計による「アオーレ」は、JR長岡駅より徒歩2~3分の至近距離にあり、駅からは濡れずに行ける、硝子に囲われたブリッジ及び通路も用意されている。
一日中、市民の憩いの場、行政の場として大いに賑わっている。加えて写真展会期と重なる日程で、向かいの部屋で隈研吾展も開催されていた。
この新潟写真展は3回目の開催となり、初回に建築家山本理研氏、2回目は同じく建築家新居千秋氏、そして今回も建築家内藤廣氏の講演会がセットされた。
今年の会場は、写真展、講演会とも従来の新潟市内から建築学科を持つ大学もある長岡市に移した。「アオーレ」の存在も欠かせないことではあった。
4月22日、講演会当日は、市民の賑わいの場、金曜日夕方、隈研吾展、建築関連の学生の居る町、そして勿論内藤廣氏の人気もあり、用意された230席の会場は開演早々満席となった。
内藤廣氏は、親しみのある語り口で、写真家石元泰博氏との出会い、内藤氏の設計の海の博物館への撮影同行、そして出版等を石元氏の写真を映写し、また当時を思い起こしながら「海の博物館」「石本氏との会話」等を交えながらの話が続いた。
建築も人間と同じで、写真写りの良くない建築がありますね。雑誌などで見て、余り期待しないで現地に行くと、以外に良い場合もあります。逆に写真写りが良く、実際見に行くと期待したほど良くなくて、がっかりする場合もあります。私は、時間の許す限り建築を自分の目で見る事を心がけています。とも語った。
また大変興味深い話として、メディアの建築写真が全てカラーになって、最近の雑誌の写真が良くない。「いい写真が少なくなったと思いませんか皆さん」と問いかけていた。
「石本さんの写真には、モノクロのあの何とも言えない緊張感があるんです」とも語った。
我々にとっては耳の痛い話ではあるが、デジタル化の影響もあり、共感をおぼえます。
後半には活発な質疑応答が30分以上も続いた。最後に内藤氏は、「これから皆で良い空間を作って行きましょうよ」と呼びかけて話を締めた。
詰めかけた地元の建築家達からは、満足そうな表情が多く見られた。
大盛況で大変有意義な講演会であった。
今回の写真展、講演会は、写真展示、ポスター、入場料用チケット及びチラシ作成、人員の手配など、さまざまな作業を、新潟在住佐武浩一会員の孤軍奮闘により開催されました。
佐武会員には心より御礼申し上げると共に心より敬意を表します。
記/ 小川泰祐・2016年4月25日
(posted on 2016/4/25)