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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

設立25周年企画展
25th anniversary exhibition

コラム

Column

NO PHOTO NO LIFE ㊺ 対談企画
ゲスト バイオリニスト/ヤマハ音楽振興会認定講師 竹内絵美さん
~宣材写真撮影を終えて~

前書き ~35年ぶりの再会~
僕はこれまで何人もの素敵なプロアーティストの方々の宣材を撮らせて頂いてきたのだけれど、思い返すとプロのクラシック演奏家はまだ一人もいなかった。
撮影を担当させて頂く今回のお相手はプロの「バイオリニスト」
僕の中の「バイオリニスト」って同じクラシック演奏家の方々の中でも、なんだか特に気高い人に思えて、あの弓を強く引く(弾く)瞬間の仕草といい、かと思えばピチカートしたり、男女問わず気品と演奏家としての色気を兼ね備えている方が多いなぁというイメージ。
そんな、今回撮影させていただいた女流バイオリニストの竹内絵美さん、なんと35年ぶりの再会でした。
実は中学校の同窓。中学1年生の時のクラスメイトでした。
互いに制服を着ていた少年少女期にまさか遠い未来でこうした再会が待っているなど、誰が予想できただろうか!?
あれから35年、こうしてお互いの生業上での立場として再会できるって、本当に幸せな人生の出来事だなって思います。今回はそんな竹内絵美さんを迎えて写真のこと、アーティストライフの事、伺いました。

 

 

プロが撮るポートレートは被写体とカメラマンの共同作品

西田
35年ぶりの再会がスタジオの開始時間の都合で昔話をする間も無くいきなり撮影に突入したわけだけど改めて本当に久しぶりね(笑)
もう、久しぶりっていう次元じゃないけれど(笑)

竹内
そうだね、でも全く知らない今日出会ったカメラマンさんという訳ではないから、そこは竹内絵美を撮ってくれるんだろうな!?という変な安心感はあったかな(笑)

西田
この対談企画にはこれまで色々なアーティストの方がゲストとしてお越し頂いている訳だけれど、決まって始まる質問というのがあって「あなたにとって宣材写真とは!?」という切り口から対談がスタートするんだけれども、絵美ちゃんにとって宣材写真とかアー写ってどんなものでしょう?

竹内
うーん、、、
これまでにそんな宣材なんて事を意識して撮った写真がある訳ではないからなぁ。
確かに、演奏家としてリサイタル・フライヤー等に使用する為のプロフィール写真は何度か撮ってきたけれど。だから「アー写」って言葉も新鮮だった。最初それ何だっけ!って(笑)
でも、私の事を知らない人たちに対してこれが「竹内絵美」です!って知ってもらう為のツールの一つよね。
ただ、こんなに沢山のシャッターを切られた経験はおそらく初めてだわね(笑)
だって写真館さんとかで、プロフィール用の写真をお願いしたって、基本は数十枚でその中から数枚をいただくって感じじゃない。

西田
そうかもね。商業的な形態に決定的な違いがあって、僕らのようなアーティスト写真を撮るカメラマンは「写真館に来たお客様をお撮りする」というよりは、例えば絵美ちゃんであれば、「竹内絵美」というアーティストと契約を行ってそのアーティストの持つアイデンティティや内面にもフォーカスして撮影を進めるといったように、被写体であるアーティストの感性に短い時間でも出来るだけ深く触れながら撮影を進めるという意識が強いんだよね。
弓を持つ仕草やバイオリンを構える動作、そして表情。今回だったらそういった「バイオリニスト」を象徴する複数の要素全てがベストのシャッターチャンスというモノは「はい、チーズ!」じゃ作れないんだよね。

竹内
だからメディアでみるようなカメラマンさんって連射をしているのね!?

西田
そうそう(笑)写真を撮る立場として自分の写真に100点を付けれる事ってきっと一生ないんだけれど、70点の写真が100枚撮れてもそれはダメで、それよりも95点の写真1枚撮れた方のが価値がある。そんな写真を生むためには、絵美ちゃんの瞬間の連続を逃さないって事が大切だと僕はカメラマンとして考えている訳。

竹内
今回撮影してみて、気付いたんだけれど、撮影ってリズムがあるんだね!?
なんか、後半少し要領を得てきた気がする(笑)

西田
さすが!
演奏家の皆さんってトリオでもカルテットでも音で会話するわけでしょ!?
カメラマンとモデルさんもそうなんだよね!シャッター音でコミュニケーション取ってる。
そしてシャッター音が届かない距離だとストロボの光がその役割を果たしてくれるんだよね。その発光のリズムに規則性がお互いに見つけれらたらそれがお互いのテンポになるんだよね。絵美ちゃんはプロの演奏家だから、きっと反射的にその感覚を掴むと思ったから、今回こういう撮影で臨んだ(笑)

竹内
こうして今回の撮影を振り返ると、写っているのは確かに私なんだけれど、でもそれは単に私というよりは、「西田くんが見た私」っていう感じがしてなんか共同作品みたいな感じがするのよね!

西田
抜群に最高なコメントをありがとう(笑)
もう、これで締めていいぐらいのキーワード出たね(笑)
確かによく言うんだよね、スナップとポートレートの違いとかでさ。
ポートレートって被写体自身が自分が「撮られている!」という事を認識しながら撮影が進むので、カメラマンと被写体の共作って言われる事が多いんだよね。本当に素敵な時間をありがとう。
では次のテーマは今回撮影させて頂いた演奏家「竹内絵美」としての話を少し聞かせて欲しいのだけれど。今後、演奏家であり講師である絵美ちゃんがバイオリニストとして向かう先とは!?

 

 

レッスンは自分こそが学ばせていただいてる場

竹内
講師としては26年になるけれど、レッスンは自分こそが学ばせて頂いてる場だなって。
生徒さんを「教えている」というよりは自分が成長させてもらっているんだよね。生徒さんの中には私よりも年上の方も多くて、そんな人生で言うところの先輩方に助けて頂きながらやっているという想い。
昔、私がまだ新講師の頃に講師募集のパンフレットに載ってた事があってそれを見ると「夢は、、、」みたいな事が書いてあってね、いったいどんな事を言ってたのだろう?って読み返したら「生徒さんと一緒に舞台に上がって弾きたい!」って言ってて、今まさにそうなっているというか!!

西田
へぇ~、それは素晴らしい話だね!

竹内
今もその想いは全く変わってないんだよね。
その頃、生徒さんもまだ1年とか2年とかしか教えていない状態だったから本番を踏めるという状態ではなかったので一緒のオーケストラで弾くとかできなかったけれど、今や一緒に弾いたり、また私が指揮をして「こんな音出してみて!」って要求すると、想像以上に情熱的な音が返って来たり!(笑)

西田
凄いね~ 音で返してくれるまでに皆さん成長されたんだね

竹内
それは凄い幸せな事だなぁって。

 

モットーは自分たちで弾きたいモノを弾こう!

竹内
演奏家としては新たに手を広げるというよりは今いる人たちと積み重ねてきたモノがあるので、そこで培ったモノを基にもっと温めていきたい!
まだまだ可能性があるかな!って思っていて、例えばピアノトリオというだけでもまだ数えきれないくらいの曲もあるし、アンサンブルを通じてもっともっと経験して音楽もメンバーとの信頼関係もさらに深めていきたいと思う。
そして色々なご縁で公演をさせて頂くのだけれど、いま一番活動を共にしているピアノトリオは、そんな中でも1年に1度は必ずホールでコンサートをしよう!って。
響きがいい場所でやろう!
モットーは自分たちで弾きたいモノを弾こう!ってね(笑)

西田
じゃあ次回は絵美ちゃんが組んでいるトリオ・ルーチェの公演で再会だね!

後書き
後日、改めて元住吉にある料理が絶品なカフェで昔話とお互いの今について話に花を咲かせたわけであるが、こんな遥かな時間を超えての再会も自分にとってはカメラがあったからこそ実現できた再会なのだろうと思うと、竹内絵美さんにとってバイオリンがそうであるように僕の今の人生にとってはカメラが人との縁を紡ぎ出してくれているのだと改めて感じた。再会の縁は始まったばかり、今後が心から楽しみだ。

 

 

竹内 絵美 ~プロフィール~
横浜市出身。ピアノを5歳、ヴァイオリンを13歳より始める。洗足学園音楽大学 音楽学部ヴァイオリン科卒業。
現在は一般財団法人ヤマハ音楽振興会認定講師及びヤマハミュージックレッスン バイオリン科講師を務める。講師歴は今年で26年目を迎える。2008年〜2018年ヴァイオリン教科研修スタッフとして教材開発や講師育成に携わる。またヤマハ・ミュージックホールディングス社より出版の「はじめての弦楽トリオ・アルバム」「コンサートで弾く弦楽四重奏ポピュラー&クラシック」などの楽譜監修も手掛ける。
講師業のほかに、首都圏のコンサートホールやライブハウスでピアノ三重奏などの室内楽を中心とした演奏活動も行っている。

⚫︎2024年12月8日(日)
ストリングス・パルテンツァ
みなとみらい小ホール
19:00開演
ブランデンブルク協奏曲 第3番/ J.S.バッハ
弦楽セレナーデ / J.スーク ほか
チケット 3000円(全席自由)
チケット販売 みなとみらいホール窓口 045-682-2000

⚫︎2024年12月14日(土)
ヤマハミュージック横浜みなとみらいライブ
ヤマハミュージック横浜みなとみらい2F カフェ&ライブ
①14:00〜14:30
②16:00〜16:30
観覧無料、予約不要(カフェでご着席の場合は1ドリンクオーダーお願いします)
演奏 トリオ・ルーチェ
Vn.竹内 絵美、Vc.石黒 豪、Pf .横田 優花
お問い合わせ 
ヤマハミュージック横浜みなとみらい
045-307-1010

⚫︎2024年12月22日(日)
トリオ・ルーチェ クリスマス・ライブ
吉祥寺ストリングス
13:00開演(2ステージ、入れ替えなし)
演奏 トリオ・ルーチェ
Vn.竹内 絵美、Vc.石黒 豪、Pf.&Vo.横田 優花
ミュージックチャージ 3000円
要予約 
お問い合わせ 
吉祥寺ストリングス0422-28-5035

(posted on 2024/11/20)

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