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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

設立25周年企画展
25th anniversary exhibition

コラム

Column

滋賀の建築⑨「南郷洗堰と瀬田川洗堰」大津市黒津4丁目・南郷1丁目

瀬田川は琵琶湖で唯一の流出河川であり京都の宇治川、大阪の淀川に繋がる。琵琶湖周辺と瀬田川の下流地域は古来より度重なる洪水と渇水の被害に悩まされていた。そのため1900年から1908年にかけて淀川改良工事が行われた。その中でも特に重要な事業とされた「南郷洗堰」は1905年に完成した。洗堰とは川をせき止め、その上を水が溢れて流れるようにしたもので、これにより琵琶湖の水の出口である瀬田川の流量調節が可能となった。現在、稼働しているのは1961年に完成した2代目で「瀬田川洗堰」と呼ばれている。1992年にはバイパス水路が新設され疎通能力が向上した。


初代の洗堰の南郷洗堰。瀬田川洗堰の少し上流にあり、一部分のみ保存されている。
2002年に土木学会選奨土木遺産に認定。

2代目の洗堰の瀬田川洗堰。全長173m、10基の水門がある。

左側がバイパス水路。右側が瀬田川洗堰。

下流側から見る瀬田川洗堰。

南郷洗堰の東隣に水のめぐみ館「アクア琵琶」がある。洗堰の仕組みや琵琶湖の水環境について学ぶことができる。

琵琶湖の水は瀬田川(宇治川、淀川)と琵琶湖疏水(大津と京都を繋ぐ人工水路)を通じて近畿圏の約1,400万人が水道用水として利用している。そのためよく近畿の水瓶と呼ばれるが、先人が築き上げた琵琶湖の治水と利水の歴史、水環境を思うと水瓶という無機質な表現は適切ではないのかもしれない。

(posted on 2023/4/10)

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