NO PHOTO NO LIFE ㉝ 旧友のアー写撮影 対談企画
ゲスト プロベーシスト タカバタケ俊 様
10月中旬、神奈川県川崎のとある場所でプロベーシスト「タカバタケ 俊」氏の宣材写真の一つ、所謂アー写の撮影を行った。
23歳でメジャーシーンでのデビュー以降、四半世紀を超えるプロミュージシャンとしてのクリエイティブな人生を歩んできたアーティストにとって「写真とは?」というワードにフォーカスして話を伺ってみた。
彼のキャリアは後述にて。
余談だが、僕は彼がプロミュージシャンとして頭角を表す未だ以前、少年期にお互いが初めてバンドを組んだ時のバンドメイトである。
あれから30余年、少年時代の仲間が当時共に憧れた世界へと進み、そして今なお現役で活躍している。そんな旧友の宣材写真を撮影させてもらえるような再会に至った今回の出来事に心から感謝している。
西田
先日はお疲れ様でした。あっという間だね。もう2か月位経ったかな?
タカバタケ氏
うん、丁度そのくらいだよね。
西田
その節は、ありがとうございました(笑)
タカバタケ氏
こちらこそ。各地好評なので(笑)
西田
あはは、それはさ被写体の問題じゃなくて? だれが撮ってもタカバタケ・ファンからすると好評な気がするけど(笑)
タカバタケ氏
いやいや、ホント何年振りか分からないって感じでアー写撮ったから(笑)
西田
あっという間に今年も終わりだけど、年末も忙しいでしょ。
タカバタケ氏
年末にもう1本ステージの仕事と別件のリハがあって新年早々に2件ぐらいあってね。
西田
そっかそっか、じゃあまぁ忙しいでしょうから早速やりますか。
ここのゲストで登場してくださる皆さんにお伝えしてるのだけれど、写真サイトでの連載コラムということで、まずは写真についてお話を伺っていくのだけれど、俊くんにとって「写真って何?」て聞かれたらどんな答えが返ってくるのかな?
タカバタケ氏
「写真は何?」って一言でいうと、、、
なんだろうねぇ、、、
あまりかっこつけずに一般的に言う思い出とか記録とか、そういう感じが強いかな。
西田
アーティストとしてデビューしてからは、基本自分が撮るよりも撮られる側の人生なわけでしょ?
タカバタケ氏
そうだね。
西田
その撮られる際に写真に求める事って言ったら何なんだろう?
アーティストとして写真に託すものって何なんだろうなって。
タカバタケ氏
やっぱり作品的な意味合いっていうか、「その時の自分」っていう感じなのかな。
ミュージシャンだったらCDというか、まぁ昔はレコードだったじゃない。レコードって記録っていう意味があるからその時の自分の記録という意味で、それは髪型とか肌の衰えとか(笑)そういう事ではなくて、目つきだったり醸し出している雰囲気だったり。音楽だったら歌い方が若いとか演奏が粗いとか「その時の自分」が記録されているようにね。
西田
一番最初、デビューって何歳だったっけ?在学中だったっけ?
タカバタケ氏
23歳だね。
西田
だから四半世紀過ぎてるわけでしょ?その25年を超えるキャリアの中で、アーティスト生活として撮られた写真の中で印象に残ってる写真ってあるの?
タカバタケ氏
なんだろうね~、、、
この間撮った時もそうだけど、楽器を持ってる時は撮られてる!ってそんなに意識をしてなかったりするじゃない。で、アルバムジャケットとか宣材写真って「撮られよう!」と思って撮られてるからそこがまたちょっと意味合いが違うかなぁって思うよね。
スポーツ選手とかもそうだと思うんだけどプレイしている最中の写真と宣材のプロフィール写真じゃ違うと思うし。
だからアーティスト写真(アー写)は普段の自分を見せるというよりは、自分のより良い姿を、かっこ良いものを意識して撮られるのかなぁ。
どっちかっていうと、ピンで写るよりバンドで写る方のが多かったから、その服装とか構図とか撮っている場所とか天気とかがバンドの音楽性にどういう風にいいか?みたいな。
西田
これまで、そのバンドのスチールって当然プロのカメラマンさんが撮ってきたんだと思うんだけど、それってカメラマンさんとバンドが協議しながら撮ってきた感じなの?それともカメラマン任せだったのか、それか事務所の意向がガチガチに反映されたものだったのか?
タカバタケ氏
一番最初は、それこそ「どメジャー」の時は、写真1枚撮るのにも何人もの大人が絡んでて、「こういう方向でいきましょう」ってのがあるから。
西田
それは、だから「売り出していきましょう!」っていうプロモーションに基づいてね。
タカバタケ氏
そうそう。「この曲のこのCDはこういう風なところに売りたいから、だから今だったらこのカメラマンを使いましょう」みたいなね。もちろん俺たちは、その中身は知らなかったりするんだけど、「だれだれを撮っている誰々さん」みたいな会話は当時まわりの大人がみんなしてたからね。その人が(カメラマン)がどういう人なのか勿論作品は見るよね。「このジャケットの写真この人が撮ってたんだ!」とか。それ見て「かっこいいね」とか言ってね。だからその時はそのカメラマンさんが撮ってるからかっこいいって思うんだけど、難しいよね(笑)その写ってるのが自分たちってなると。
それはカッコよくしてもらえるって若かったから勝手に思ってたし。そうじゃなかったりもするよね(笑)
西田
逆に、この写真は違うなぁ~って思うような写真ってあったりしたのかな?って。自分たちの考えるアーティストとしてのキャラクターと乖離しちゃってるじゃん!みたいな。
タカバタケ氏
あ~、当時はそんなに無いっていうか、分かってなかってところも大きいから。あとは、あまり自分がメインで写ってないから「もっと俺が写ってるやつにしてくれよ」みたいな(笑)
西田
やっぱり、それはバンドのフロントマンが大きく写る構図ってやつなのかな。
タカバタケ氏
そうそう。ポーんとボーカルがいて後ろの方に俺か俺じゃないか分からないくらいで写ってるものもあるし、それはそういう世界観を優先して撮られてるって事なんだけど。
全員の顔がちゃんと見えた方が良いっていうアー写も当然あるだろうし、だからそうじゃないバンドって感じだったんだろうね。その当時の売り出し方としては。
他に流行もあったのかもしれないしね。当時のその他のどメジャーのバンドのジャケットを見てもそういう構図のジャケットが多かったような気もするしね。
西田
なるほどね~。そのトレンドってね。確かにあるよね。
では撮影時にカメラマンに求める事、もしく苦手な事ってあるのかなぁ?って。
タカバタケ氏
今はそんなに無いけどね。いま話したのは自分がデビューしたてで「カッコよく撮ってくださいね!」みたいな感じの右も左も分かんない感じの頃だったから。大人になると色々分かってきて「こうしたい、あーしたい」っていうのをこっちも言えるし、それに対して「でも俊くんはそうじゃないし、こーゆー方がいいよ!」って言ってくれたりね。だから極端な事言うと仮にカメラマン側の主張を押し付けられたとしても写真に関しては自分は素人だからよほどの事が無い限り基本は信頼してね。お互いやれるようになったよね。
西田
出逢いから30余年目にして、こういう形で俊くんを撮らせてもうようなご縁を授かったことは大変光栄な事なんだけど、少し話を俊くんの音楽の方へシフトさせて、今後の俊くんとしての作品のリリースとかって考えてないの?
タカバタケ氏
まぁ、やってみたいよね。
西田
それは、旧友としてはとても期待するよね。これまでバンドの一員としての作品と多くの色んなミュージシャンとの共演やレコーディングなど、もちろんどれも俊くんのバイオグラフィーとしては重要なことなんだろうけど。ちなみにフロウズンのバンドイニシアチブは俊くんが割合としては多かったのかな?
タカバタケ氏
そうだね。
西田
じゃあ、俊くんの音楽性が強かったバンドだったんだね
タカバタケ氏
そうだね。それは。まぁ全部じゃないとは思うけどね。
西田
なんか俊くんのソロアルバムを見てみたいよね。当然、色々なゲストの方を迎えて制作されるんだろうけど。
タカバタケ氏
もう何年か前から言ってたりするんだけどね(笑)
西田
これから49歳だっけ?俊くん早生まれだったよね
タカバタケ氏
そうそう、だから50歳の節目の時とかにね。
西田
それ、絶対やった方がいいよ!
まぁ僕は素人だから簡単にそんな事言えちゃうのかもしれないけど。プロミュージシャンがプロミュージシャンとして世の中に「作品です」って出すってなったら、それは責任含め大変な事なんだろうけど。なんか旧友としては期待しちゃうよね。
実はさ、僕も来年50歳だから。大きなチャレンジをしようと今年から準備に入ったんだよね。
(しばし、西田の50歳の挑戦の内容で俊くんの大きな人脈もあって盛り上がる)
西田
今、歳の話になったけれど先日48歳で改めてアー写と撮ったときの感想ってどうだったの(笑)
タカバタケ氏
撮ってもらって一新した時にSNSでも書いたんだけどさ、自分は「何者ぞや?」じゃないけど一応ミュージシャン/アーティストとして撮られてるから、「俺はこういう方向でいきたいんだ!」みたいな事は考えるよね(笑)自分の立ち位置というかどう在りたいか?みたいな事をね。
西田
こうして話をしててね、今ちょっと思う事があるんだけど、
僕らって高校の16歳ぐらいの時に一緒にバンドやっててさ、古くから知る旧友っていう大きな繋がりがあるんだけど、こうやって自分はカメラマンとしてインタビューしてるとさ、なんかその繋がりの大きなベーシックが占める割合って意外と小さいんだよね!
それよりも、プロアーティストの「タカバタケ 俊」さんにインタビューしなきゃ!って。
分かる?この感覚。
タカバタケ氏
なるほどね~!
西田
それは、プロミュージシャンとして生きてきたという事に対するリスペクトが自分をそういう感覚にさせるのだと思うけど、なんか不思議な感覚なんだよね。
タカバタケ氏
ま、たまたまこういう職業だからね。それもあるのかなとは思うけど。これがまた違う職業であれば違うかもしれないしね。
西田
あ!そうそう
一つ聞きたい事があったんだけど俊くんって自分の中では演奏家っていう割合が大きいのか、それともベースという楽器はあくまでも表現のツールの一つであって、クリエイターという意識の割合の方が大きいのか?大きくアーティストと呼ばれる中でも本人としてはどうなんだろう?って。
タカバタケ氏
そうだね~。今はどちらかというと演奏家っていう方が強いのかもしれないね~。
もう、「我を出して!」っていう感じの活動ではなくなってるしね。長い間。
まぁ、難しいんだけど、そのベースを演奏するという仕事としての依頼が割合としてはとても大きいからそうなのかもしれないけど、でも仮にアレンジだったり作曲だったりしても、アーティスト!というよりは、もう少し商業寄りに近いのかなぁって自分では思うんだよね。もちろんアレンジにしてもその曲を書いているアーティストさんの世界観を表現するように努力するんだけど、でもそこには「もっとこうした方が届くな!」とか。アーティスティックじゃない!って言ってしまうと違うんだけど。
でもその辺って難しんじゃないかなって。勿論、音楽って芸術だと思うんだけど、そもそもの始まりがどうしてもテレビを観て!っていうところから始まってるような所があるじゃない。我々の世代って。それって既に商業ベースに乗ってるモノだったりするからね。だから売れ線のモノに抵抗が無いんだよね。「迎合して何が悪い!」みたいな。そう思っちゃたりするところもあるよね。
だから写真に例えて言うと、普通のひとがパッと見てかっこいい!っていうモノの方が絶対にいい!って思っちゃうよね。わかりずらいものよりは。そことアーティスティックな部分とのせめぎ合いなんじゃないのかな~って。
西田
なるほどね。
話は尽きないんだけどさ、こんな話を聞いたから尚更、俊くんの作品を将来に期待してしまうよね。きっと2023年も何かと縁がありそうだなって思う。
お互い、50歳手前。健康に気を遣って来年もともに頑張りましょ!
今日は、お付き合いいただき本当にありがとうございました!
あとがき
思春期の一時期を共にした旧友との話は脱線を繰り返しながら楽しく行われた。
自分が撮影したアーティストとしての彼の写真は、彼の分身として自分の手元を離れ彼のアイコンとして世の中に出ている。そんな事実を心から光栄に思う。
旧友の今後のアーティスト活動にますます期待して応援を続けたいと思う。
タカバタケ 俊 ~プロフィール~
公式サイト http://shun-takabatake.com/
高校入学と同時にベースを手にし様々な音楽を経験。
大学時代はジャンルレスにいくつものバンドを掛け持つように。
卒業後ビクターエンタテインメントよりデビュー。
シングル5枚、アルバム1枚をリリースし解散。
その後、自らの呼びかけにより結成したバンドが高橋幸宏主催の@niftyオーディションで優勝し、佐久間正英プロデュースによりデビュー。
シングル4枚、ミニアルバム1枚、フルアルバム3枚をリリースし、2013年渋谷O-EASTでのワンマンライブをもって活動を無期限凍結。
自身の活動と平行して様々なレコーディングやライブサポートにも参加。
Barライブから全国ツアー、ホールワンマン、海外公演まで幅広く経験。
<Live・TV>
柿島伸次(かっきー&アッシュポテト) 、UMake、東城陽奏、CUBERS、山崎あおい、中西圭三、ROLLY、ダイアモンド☆ユカイ、MAGUMI(LÄ-PPISCH)、森若香織(GO-BANG’S)、松岡英明、いきものがかり、上杉昇(ex.WANDS)、浅岡雄也(ex.FIELD OF VIEW)、橋本潮、南里侑香、杏子、片山遼、森翼、我那覇美奈、染谷俊、STARMARIE、新田恵海、中谷優心、高橋秀幸、宮本佳那子、クォン・サンウ、ケロポンズ、鈴木翼、大西洋平、ichiro、N.U. 、伊藤祥平、つばさFly、花菜、ひなた、YoheiNakamura、シオダマサユキ、mimika、執事歌劇団、SPARK SPEAKER、てつろう、伊吹留香、RAMI(ex.Aldious)、他
<Recording>
柿島伸次(かっきー&アッシュポテト) 、UMake、BEYOOOOONDS、松田聖子、AIKATSU☆STARS!、東城陽奏、山崎あおい、三澤紗千香、Sexy Zone、Hey!Say!JUMP、へきトラハウス、N.U. 、savage genius、あっとせぶんてぃーん、染谷俊、CUBERS、大西洋平、片山遼、森野熊八、上村昌也、つばさFly、花菜、ひなた、シオダマサユキ、滝沢乃南、アキオカマサコ、岡村聡士、中川ひろたか、新沢としひこ、ピストルモンキーズ、YKJ、アサクニユキ、『キングスレイド』キャラソン、『ファントムオブキル』キャラソン、『天体戦士サンレッド』劇伴、『革命機ヴァルヴレイヴ』劇伴、他、映画、アニメ、CM音楽、等多数(順不同)
(posted on 2022/12/20)
Writer: 西田慎太郎