日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

便利の裏返し 

「大越さん、最近ポートレートを頼んだカメラマンが、右向きを左向きに反転して納品してきたんですけど、そういうのってどう思いますか?」

馴染みの編集者が言ってきた。

私は「う〜ん・・・。」と唸りながら、
「それって左向きが撮れなかったから、右向きを左向きに反転してごまかそうとしているって事だよね、実は自分の落ち度を自己申告する事になるって気付いてないのかな?」

「やっぱりそう思いますよね。」

自分の中での煮え切らない思いを、他に聞く事で納得した様子。

そのカメラマンにしてみたら、「きっとバレないからやってしまおう」という軽はずみな事だろうけど、編集者の技量を見誤っていたと共に、御丁寧に反転ベースになった同画像も一緒に納品したらしい。

デジタルになって、様々な処理ができるようになった事は、一見便利なようで、実は多くの危険をはらんでいる。
著名人がネットの世界でわざわざ言わなくていい事を言って、炎上しているのも同じ事。

見誤っている。

自分も仕事をさせて頂く中で、クライアントさんに様々な画像処理を頼まれる事はあるが、自分で納得のいく処理を終えた後でのルールとして「言われたらやる」というのがある。
フィルムの頃なら撮ったものが全てで、未熟さゆえに写り込んでしまった不要なものを消すために、フィルムレタッチをしようものなら、数万円かかった、という苦い経験があるので、いくらデジタルだろうと必要以上の後処理は簡単にしたくない、というのが自分の中でのモラル。

デジタルとの付き合いはこれからも続くけれど、様々なアンチテーゼを含むツールだという事をいつまでも忘れてはいけないと思っています。

ビートル

(posted on 2016/3/31)

大越邦生

Writer:

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