NO PHOTO NO LIFE ⑬ ~日本海側をひたすら東へ~
2月某日、下関を出てJR山陰本線とほぼ平行しているR191からR9へとひたすら東へ、溢れだしそうな機材を載せてバンを走らせている。
今日が連載させてもらっている月刊コラムの締日だと思い出したのは夕刻の頃だ。原稿ネタをどうしようかと考え、とりあえず車の停車場を海の見える山陰本線の駅にしようと、条件に適った一番近くの駅に立ち寄った。
下関から約180㎞の地点。「JR折井駅」という海岸沿いの駅。
島根県浜田市西村町という場所に位置する駅だ。
無人の駅舎を抜けて跨線橋を渡るとホームが海岸線と並行して東西に伸びる。
もちろん自分以外にはこの時間、駅の利用者は他に誰もいないようだ。
駅の事をスマホで調べてみた。
1924年開業とある。駅舎は2年間に塗り直されたようだが、1日の平均利用者は10人程度のようで、寂れていく気配を否めない。
けれど、何故だろう。目の前に広がる冬の日本海も何処か物悲しいさがあるにも関わらず、静かな美を感じずにはいられない。
もしかしたら、これも一つのわび・さびなのだろうか?
感性と情緒に支えられた日本特有の美意識を自己の中で改めて感じさせられたひと時だった。
「わび」そして「さび」
日本人として写真を撮る者として、自分の写真の中にほんの1点でもそう感じれるような情緒ある写真を1枚でも多く残せていけたらと思う。
(posted on 2021/2/20)
Writer: 西田慎太郎