日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

NO PHOTO NO LIFE ⑪ ~2020年も残りわずか~

人生でこんなにマスクを着けて過ごした年があっただろうか?
撮影中に息苦しくなって何度もマスクを顎へとずらしてシャッターを切ったような記憶ばかりだ。
大げさでなく人類と未知とのウィルスの見通しの立たない戦いが始まった今年。
その戦いは今なお続いていて、新たな生活様式へと人類側も変化と順応を迫られているように感じる。
景気は落ち込み、倒産失業が相次ぐといったニュースを繰り返し耳にしながら、
職業カメラマンとして何をすべきで、どのようにこの危機的状況を乗り越えなければならないのか?ということを真剣に考えた約1年だった。

それでも、ありがたいことに建築写真の仕事はコンスタントに入ってきて、竣工写真を幾つも撮らせていただいた。
入居済みの新築のマイホーム撮影にお邪魔すると、そこにはコロナ禍に生きるそれぞれの家族のリアルな生活がそこにあって、それごと撮影するようにしていった。

仕事で訪れたカメラマンの僕という部外者を招いてくれる皆さんは、礼儀と配慮という意味合いで皆さんマスクを着用して迎えてくれて、それはそこで生活するチビッ子たちも同様だった。

不自然だった光景がいつのまにか自然な光景へと抵抗がなくなっている自分に気づいたとき、このコロナとの戦いがとても長いものになるのだろうと感じた。

僕が使っているごっついカメラを興味深々で見上げるようにマスクをつけた子供たちが近づいてきて、自分にも撮らせてほしいと言う。
顔の半分ほどがマスクに占拠されているのではなかろうかと感じるが、その上からのぞくつぶらな可愛らしい瞳は、屈託のない笑顔がマスクの下にあることを連想させるもので希望を感じさせる瞳ばかりだった。

僕は言った。「マスクとっても似合ってるから写真撮ってあげるね」
マスク姿の子供たちは、みなピースなどのポーズをとってマスクに覆われた笑顔をつくった。

今年も残りわずか。新たな年が社会にとって少しでも希望の増える年になってほしい。

今年1年、健康な身体でシャッターを切り続ける事ができて本当にありがたいことだと感じる。
お世話になった関係各位の皆様に心より御礼をお伝えしたい。
皆様、よいお年をお迎えください。

(posted on 2020/12/20)

西田慎太郎

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