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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム

Column

町並み探訪vol.7 (岐阜県美濃加茂市・その2 伊深町) 

今回の取材地、美濃加茂市伊深町(いぶかちょう)は、美濃加茂市の北部に位置する。
近くには、元徳2年(1330)に開山した古刹で、妙心寺の奥の院とも呼ばれる「正眼寺」(しょうげんじ)がある。厳格な禅道場で、現役時代の川上哲治氏や王貞治氏ら多くのスポーツ選手や政財界人らが座禅修行に訪れている。
また、生活環境保全林「みのかも健康の森」にも近く、自然に恵まれたのどかな集落である。


「田園風景」 豊かな自然に恵まれ、平原の中、山の傍に集落が並んでいる

田園風景から集落に入り、少しすると、ひときわ大きな住宅が現れた。
大正5年(1916)から大正9年(1919)にかけ、肥料米販売店兼住居として建設された櫻井邸である。建築以来約100年にわたり櫻井家が居住していたが、亡くなった事で空き家となり、平成29年9月(2017)に相続人から美濃加茂市に寄付された。
美濃加茂市にて調査を行った結果、近代和風建築遺構としても貴重であるとの事で、現在活用法を検討しているそうである。


「旧櫻井邸」 富士山がモチーフの欄間・凝った意匠の彫刻など高い装飾性も見られる

少し移動すると、西洋風のモダンな建物が見えてきた。


「旧伊深村役場庁舎」 市内の役場庁舎としては、第二次世界大戦前から残る唯一の建物

昭和11年(1936)に、現在地で竣工。昭和29年(1954)美濃加茂市合併まで村役場として使われた。合併後は、平成26年(2014)耐震上の理由で使用中止するまで、伊深支所・連絡所等として約80年にわたって使用された。
そして、平成28年(2016)国登録有形文化財として登録、改修工事の後、平成30年(2018)「旧伊深村役場庁舎」として開館した。
改修工事では、昭和初期当時の外観を復元した。カフェ名称の「茶霞」は茶寮、茶菓と似た意味を表し、「Carre(キャレ)」は、旧役場前の道がかつて「おきゃれ畷(なわて)」と呼ばれていたことと、フランス語で「広場」の意味であることから、地域の方が自然と集う場をイメージして命名された。


「旧伊深村役場庁舎内観」 茶霞o’carre(さか オキャレ)としてカフェ活用している

取材協力:美濃加茂市 市民協働部 まちづくり課
     美濃加茂市 市民協働部 文化振興課(みのかも文化の森)
     美濃加茂市 産業振興部 産業振興課

(posted on 2019/11/2)

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