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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

設立25周年企画展
25th anniversary exhibition

コラム

Column

NOSTALGIC JAPAN ⑭三岐鉄道北勢線 三重県 その4 ~モニ220型 226号~ 


三岐鉄道北勢線の終着駅阿下喜駅に保存されているモニ220形

手荷物室付電動客車を撮影。昭和6年北勢線が阿下喜まで全線開通、同時に全線電化した折に製造された6両の電動車の内の1両。


現役車両と一緒に軽便鉄道博物館前でパシャ

1978年に内部・八王子線に移動、1983年廃車の後は四日市市スポーツランドに保存され、経年劣化が激しい状態となっていた。2007年12月に阿下喜駅に移設、修復が行われ美しい状態に蘇る。


改めて眺めるとナローボディの割に前照灯やパンタグラフが大きい

前照灯やパンタグラフは一般の大型車両と同等品であり、大型車両用のパンタグラフは踏切での架線高さを高く保持する役割も果たしている。
年配の方に聞くと、通称「マッチ箱電車」と呼ばれているが、速度が上がると「ガタンコ・ガタンコ」と唸りながらよく揺れるので別名「ガタンコ電車」とも言われていたようだ。


現役引退した鉄道車両の整備士達が中心となり、当時の技術で修復した

車内放送や隣どうしの車両間を通行する貫通路等、今では当たり前の設備は無く乗降扉も手動式。運転台の速度計も近年増設された物で、運転士はワイパーも自分の手で操作した。阿下喜側には荷物室がついており、近年までは新聞などを運んだ。


車内もビス1本まで綺麗にオーバーホールされた

内装は全て木造で、ひじ掛けは彫り物で作られる等、手の込んだ仕上げとなっている。
手動扉をガラガラと開けて車内に一歩踏み込めば、床を踏みしめる音や油の染込んだ木の香り等、昔と何一つ変わらない懐かしい空間が展開する。また、柔らかな木の床を歩き赤い小さな椅子に腰をおろした時、なんとも言えないぬくもりと、当時の人たちがこの電車にかけた思いが伝わってくる。

長い歴史の中で、地域に慣れ親しまれてきた可愛いナローゲージ車両が一生懸命に走る姿が北勢線の魅力なのかな?撮影を通してそんな気がしてきた。
今回の取材では北勢線の一部分しか撮影出来なかったが、他にも魅力的なビューポイントを沢山見つけた。次回はまた違ったアングルから写真を撮りたいと思う。

資料協力・参考資料:
高橋 利尚 氏
宮本 浩義 氏
北勢線とまち育みを考える会 会長 安藤たみよ 氏
first class architect office VISION & DESIGN . 平岡 晋 氏
               
※このコラムは2015年に「けんせつPlaza コンパネブログ 写真家の目~日本建築写真家協会~」に掲載されたものを再編集しました。

(posted on 2019/3/17)

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