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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

設立25周年企画展
25th anniversary exhibition

コラム

Column

NOSTALGIC JAPAN ⑫三岐鉄道北勢線 三重県 その2 ~ねじリ橋~ 

三岐鉄道北勢線(楚原~麻生田間)を通過すると現れるのが「ねじり橋」。江戸時代に作られた「六把野井水」に架かる橋で、正式名称は六把野井水拱橋と言い、橋と用水が斜めに交差するため、アーチ橋下部のブロックはひねりを入れて積まれている。
この構造は「ねじりまんぼ」と言い、現存するコンクリートブロック製の橋では唯一といわれる大変貴重な橋。同時代に竣工した東京駅が鉄骨煉瓦造で建設された時代、まだコンクリートが珍しかった時代に地方で造られた気鋭の作だと言える。


竣工は1916年(大正5年)施工に携わった職人達の記念写真。みんな良い顔をしている

地元の大工、多湖栄一が設計し、旧久米村坂井(現桑名市坂井)の郡竹治郎が工事を完成させたと言われている。自分達が架けた橋が100年後も現存し使われているとは、この時誰が思ったことか。


架橋から100年後の今日まで、架橋当時の姿で現存している。撮影していると、橋を架けた職人達が「どうだ、俺たちが作った橋は凄いだろ」と笑顔で問いかけてくるような気がした。


2009年に『日本の近代土木遺産-現存する重要な土木構造物2000選』に選ばれる

アーチ橋下の歩道は「軽便鉄道と昭和の町に出会うみち」として(社)日本ウオーキング協会の「美しい日本の歩きたくなるみち500選」にも選ばれている。


北勢線に乗って「ねじり橋」を通過中。向こうに「めがね橋」が見えてくる


この“ねじれが加減”が素晴らしい


ねじり橋は、現存する唯一の楯状迫石の型枠整形が不揃いのコンクリートブロック「ねじりまんぼ」で、斜拱渠の最大径間 9.14m、最急斜角となっている

この「ねじりまんぼ」は京都市左京区の南禅寺近くにある「インクライン(傾斜鉄道)」という今はもう使われていない船を運ぶための鉄道の煉瓦造りのトンネルにも見られる。
ちなみに『ねじりまんぼ』とはこのトンネルの固有名詞ではなく、こした技法で作られたトンネル全てを指す言葉との事。ねじれた『まんぼ』という意味で『まんぼ』とはトンネルの事を指すそうだ。

★その3~ めがね橋~ につづく

資料協力・参考資料:
高橋 利尚 氏
宮本 浩義 氏
北勢線とまち育みを考える会 会長 安藤たみよ 氏
first class architect office VISION & DESIGN . 平岡 晋 氏

※このコラムは2015年に「けんせつPlaza コンパネブログ 写真家の目~日本建築写真家協会~」に掲載されたものを再編集しました。

(posted on 2019/1/17)

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