日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

南仏の建築が面白い 

ジャンコクトー美術館-1
ジャンコクトー美術館

パリに滞在し街内に竣工したここ2,3年の新しい建築を撮影し、北に足を延ばしランスルーブル、アミアンではオーギュスト・ペレの作品に再会し、いよいよ明日はマルセイユと思うだけで高揚感が半端ない。少々大袈裟な言い方をするならば、オランダ生まれのゴッホがパリでの生活に疲れ果て光り輝く南仏の太陽に自身の人生の活路を求めた南仏行に似た気分かもしれない。幾度となく南仏には足を運んでいるが、やはりパリからの空路で向かうルートが一番の好みのルートだ。行き先はマルセイユかニース。どちらに向かっても判を押したように出発地のパリの天候が悪くてもリヨン上空に差し掛かる辺りから南の空は雲一つないブルースカイが延々と続いている。勿論ゴッホ程の感受性などと語るのにもおこがましいが、あえて言わせてもらえるならこの陽光を実際に肌で感じないと判るべくも無いだろう。木々の葉っぱ一つ一つに光が宿している。

ジャンコクトー美術館-マントン旧市街
マントン旧市街

そんな太陽の下で光輝いている建築の撮影をしていると正しくこの世の春を謳歌している気分になれる。ここ最近はイタリア国境の町マントン、ブロバンスの人気の町エクス・アン・プロバンス、それに地中海文化圏の新たな首都になったマルセイユ等に足を向ける回数が増えてきている。主な目的はこれらの都市に在る同じ建築家の作品の撮影だ。名前はリュディ・リチオッテイ。南仏生まれのフランス人建築家で地元に事務所を構え、今やこの地域だけに留まらずヨーロッパ各地に多数のプロジェクトを抱えているフランスの大御所建築家の一人だ。彼の作品で最も身近な作品と云えばパリルーブル美術館のイスラム展示部門の改修作品だろう。それまでのイスラム部門の展示エリアと云えば隅の方に追いやられなかなか到達出来ない感が拭えなかったが、彼のリノベーションのおかげで今では多くの来訪者が訪れ展示品と共に異次元な空間にも共感している。

地中海文明博物館-4
地中海文明博物館

そんな彼の作品の中でもマントンとマルセイユの作品を見て頂こう。何も言わなければ同じ建築家の作品かと疑うばかりの対極の作品に仕上がっている。マントンでの作品は、画家であり詩人、小説家でもあったジャン・コクトーの美術館。旧市街の海岸に面した素晴らしい風景の中に溶け込み、私にはラクダの足にしか見えない連続した柱が建物を支えているユーモラスな作品だ。
一方のマルセイユの巨大な作品はヨーロッパ地中海文明博物館(MuCEM) 昔のマルセイユを知る人には治安が悪く決して近づかなかった旧港の突端に在り、私自身も40年振りに足を踏み入れてあまりの変貌ぶりに驚いてしまった。近くにはロジャースの小作も有り1日居ても飽きないエリアに変貌している。
先程も述べたがマントンの作品とは対極の巨大な作品でPC板の外壁に覆われた虫カゴを彷彿させる巨大な箱が海に面して鎮座している。内部に入るとその虫カゴより差し込む光輝く光線が時間の経過と共に光と影の絶妙なハーモニーを奏で何とも不思議な気分にしてくれる。被写体としては少々厄介なのは間違いないが、興味をそそられる被写体でもある。

地中海文明博物館-マルセイユ遠望
マルセイユ遠望

マルセイユはこれからも欧州文化首都として益々発展が期待され今でも多くの著名な建築家が腕を競っている。日本人建築家では隈研悟氏の2作品が既に竣工している。又、マントンは近隣のニース、モナコ、カンヌといった超高級リゾートとは違いかっての漁村の雰囲気を未だ色濃く残すイタリア国境にある庶民のリゾート地でもある。
パリに行かれる諸氏は多いと思うが空路で90分,TGVでも2時間強、ぜひ南仏まで足を延ばし光り輝く太陽を体感するのも旅の楽しみかもしれない。

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(posted on 2015/10/20)

堀内広治

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