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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム

Column

トルコ、普段着の街では 

トルコは先月にクーデター騒ぎがあり、その前には空港爆破テロもあったりして、めっきり観光客の姿が少なくなったようです。地元の人もトプカプ宮殿に行列がないのを見るのは初めてとか。そんな中、イスタンブールに1週間滞在し、その後アンタルヤ3日ほど滞在した際、「こうだったんだー」思ったことを書き留めてみました。

観光でも撮影目的の旅でもないので、ツアーでは見えない姿も見られたのではないかと少しは思うのですが、一番意外だったのは、行けども行けども続く高層マンションとその建設ラッシュでした。
世界の名だたる都市でも市街地を抜ければある程度長閑な風景に変わるのですが、これは意外な風景であり、かつての日本の建設バブルを思わせるものがありました。連れに「これは絶対はじけるから気をつけろ」とは言ってみたものの、この状態がもう10年以上続いているので大丈夫、との返事が帰ってきました。トルコでは建設業は有望な職種であり、その仕事先は国内にとどまらずロシアが良い取引先であるとのことでした。
ただしロシアとの関係は微妙なものがあります。そしてロシア娘の嫁ぎ先人気ではNo2の地位をトルコが得ているらしい。No1は失念してしまったが周辺の金持ち国のはずです。

建設現場に出入りすることが日常的な我々には日本は群を抜いた安全性があることを思い知ります。ここでは入口にガードマンもおらず工事車両が行き来し、資材が路上に置いてあったり、工事途中なのにネットも張ってなく作業が丸見えとか。安全はどうも置き去りにされている印象です。

産業といえば観光が重要な位置を占めており、リゾートには日本にあるものの規模をはるかに凌ぐ施設がいくつも(100以上)あるようで、周辺諸国から多くの人が訪れています。EUはもとより、ロシアやイラン、サウジアラビア、エジプトなどから人々を集め、中国人は商談にリゾートを使っているようです。医療機械の売込らしい会話が聞こえたとか言っていましたが、友好国日本なんてのんびりしていては、もう勝機なし、になりそうです。その時のアンタルヤのリゾートにいる日本人はきっと我々しかいないと思いますが・・・。イスラムの縛りの多い国からの旅行者は、空港でさっとスカーフを外して楽になるとか。
実はこの縛りがトルコにおいては火種になっております。今まで政治と宗教を切り離して成長をしてきた国ですが、最近の指導者のやり方が問題になってきます。そのようなこともありこの国では、親戚同士でも政治や宗教の話は避けるようです。人により相当な温度差があり、毎回お祈りをする熱心な人もあれば全くしない人もいます。まあ我々のように盆(ラマダン)と正月だけの人も大勢いるということです。

今回起きたクーデターも意外なことでしたが、わずか数時間前まで、私たちはボスポラス海峡そばのレストランにいました。もっと遅くまでいたら帰れなかった可能性もあります。一晩で終結したとは言え、戦車に踏み殺された気の毒な人もいるわけで、その後の大統領派の市民は、毎晩広場で大騒ぎをしており、こちらの方が身の危険を感じました。暴走族と右翼が町中で騒いでいるような感じです。

イスタンブールでの宿は市街地から地下鉄で30分ほど行った場所にあり、ビジネスホテルとありましたが、内容は日本の一般ホテルよりかなり上等です。市街地ではないのでホテルといえどもほとんど英語は通じませんが、サウジアラビアのサッカー選手も宿泊するクラスでした。ここから地下鉄の駅まで700メートル位あるのですが、その間なんの目的なのかわからない巨大なコンクリートの塊が歩道にあったり、地中から電線ケーブル頭が60センチ位出ていたり、足元を見ていないと危ない歩道を通ります。一般道路の間に高速道路が並行して走っていますが、そんな中、渋滞が始まれば物売りが高速道路の中までやってきます。水や花を手に売り歩くのですが、そのような人々と高級車が入り混じる奇妙な風景です。

車とガソリンは日本よりはるかに高く、だったら優しく走ってエコにしたらと思うのですが、ぶっ飛ばす人が多く危険極まりない感じでした。無秩序な路上駐車も加わって渋滞が頻発し、そこら中で鳴り響くクラクション。私が普通に道路を渡っていてもクラクションを鳴らす。これには私も血が昇ります。しかしここは異国。この部分がなければいいのにと思うのですが。

このように書くとずいぶん遅れた国のように思われるかもしれませんが、イスタンブールでも海辺にはヨットハーバーにレストラン街、カルフールのような巨大ショッピングモール。マンションにはお決まりのプール付き。どれをとっても日本以上のゴージャスぶり。このアンバランス感覚を受け入れないと暮らしていけない国なのでしょう。

イスタンブールでは人の集まる場所での荷物チェックが必ずあります。地下鉄、フェリーの入口、スーパーの入口、博物館やバザールだって自動小銃をもった人が立っています。近所のスーパーに行ってもチェックを受けました。今に始まったことではないようですが、荷物を小分けにしていた私は面倒なことになり、これは失敗でした。ウェストバックに肩からバック、カメラを首に、最悪でした。おそらく1日につき20回位チェックを受けていると思う。まとまったバック1個だけにするのがよろしいようで。私には真剣なチェックではありませんでしたが、人によってはしっかり調べられる人もいましたので、こうしなければいけない状況下にある現実を思い知ります。

いい写真など最初からあきらめていましたが、まったくその通りになり、残ったのは家族のスナップのみでした。ホテルには上手なお兄さんがいて沢山いい写真を撮ってくれましたので、私はそのデータを買ってもらって婚礼のアルバムを作るのが仕事となりました。
申し遅れましたがクーデター騒ぎの2日後に娘の結婚式があり、そのためのトルコ行きでした。

式ができるのか一時危ぶまれましたが、向うの両親の親族が、遠くはフランスからも訪ねてきて和やかに式を終えることができました。こちらでは公の結婚見届人制度があり、この人を前もってキープするのが結婚する前の一仕事で、これをキャンセルしてしまうと、また3ヶ月位式を挙げることができなくなってしまいます。フランスにいる親族とは意外な感じですが、トルコとフランスはいろいろ繋がりがある間柄です。婿もトルコ語はもちろん日本語、英語、フランス語ができるとか。それに比べ私はなんてこっちゃ「初めまして、どうぞよろしく」タメシテムーザ、メヌンノルドンすら覚えることができませんでした。

アヤソフィア

観光の目玉、アヤソフィア 只今改修工事の最中であの大空間はしばらくお預けです。

キリストのモザイク画

キリストのモザイク画は鑑賞可能です。

ブルーモスク

ブルーモスクは現役のモスクですので礼拝中は入れません。

ブルーモスク内部

ブルーモスク内部 この写真より内側には信者以外は入れません。
(短パンの男性はスカートを渡されて肌を隠すよう指示をされます)

マンション

親としてはどのような場所で暮らすのかは気になるところ。以前婿が買ったマンションですが、今では価格が上昇してとても買えないとのこと。

プール

プールつきとは羨ましい。

住まいからの風景

住まいからの風景、都心から距離にすればさいたま市や千葉あたりの距離感ですが、ずーとこの様な景色が続きます。

先方の両親に挨拶

まず、先方の両親に挨拶を。チャイで歓迎されます。

結婚公証人

結婚公証人が質問をして証書にサインをするところから式が始まります。

親戚

このような方々と親戚関係になりました。

弟の奥さん

弟の奥さんはもうトルコ人らしさは微塵も感じさせません。

アンタルヤ

招かれてついて行ったアンタルヤ。この敷地に入れば24時間何を食べようが飲もうが、一切お金のかからない天国です。
後から多大な努力を強いられますが。

(posted on 2016/8/30)

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