ボランチアで昨年1年各地で撮影した写真を利用した企画展です。大岡實の黒子ですので名前は出てきませんが、大岡實の設計意図を勉強しながら撮影しました。
鉄筋コンクリート造による伝統表現
大岡實(1900〜1987)は、日本古代の建築を研究した建築史家として、また全国の文化財修理工事を監督・指導した文部省(現文部科学省)の技術者として、昭和の建築史学会・文化財保存界において重要な人物の一人です。日本民家園設立(1967年開園)の際には、その基本構想から移築民家の選定にいたるまで指導的役割をはたしました。
しかし、一方で、大岡が「建築家」としても非常に精力的な活動を行っていたことはあまりにも知られていません。大岡は、後半生のおよそ40年間、自らが主宰する設計事務所(大岡實建築研究所)で、それまで培った古建築に関する深い見識にもとづき、多くの神社や寺院を設計しました。
その数100棟以上のおよび、中には川崎市民にとって馴染みの深い平間寺(川崎大師)の建築群をはじめ浅草寺本堂や増上寺大殿など一般に広く知られる建築も少なくありません。大岡は設計した建築のほとんどで鉄筋コンクリートという新しい構造・材料で表現しようとする大岡の挑戦がありました。