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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

兵庫県 JR西日本 播但線 竹田駅

兵庫県 JR西日本 播但線 竹田駅

日本には世界の有名観光地の名前を拝借し人寄せパンダのように何の抵抗も無く使用しているところがかなりある。
例えば日本のヴェネチァ、日本のモンサンミッッシェル、日本のグランドキャニオン等はまだ良い方で、先日目にした記事の中で日本のポルトフィーノなんて呼んでいる漁港があるのを知った。本家ポルトフィーノはイタリアの高級リゾート地だが、こちらは漁港。湾を囲み急峻な地形に民家がへばりついている様がそう呼ばせているのか。もっとも本家は民家ではなくお金持ちの別荘だが。
本家を知っているだけに呆れてしまった。
そんな呆れてしまう一つに日本のマチュピチュと呼ばれている山城の遺構がこの駅の背後古城山の山頂付近に点在している。別名は「天空の城」とも呼ばれ、今の時期は雲海を求め多くの観光客が訪れるらしい。何故「天空の城」ではだめなのか、本家にはホント申し訳ない気持だ。

話が脱線気味だが、その分家マチュペチュの遺構が駅舎背後の山頂に遠望できる駅の開業は1909年。その当時からの駅舎を改修しながら現在でも使用されているが、この町のスケールからすればかなりな巨大な駅舎だ。

現地には早朝に訪れたのだが、予想通り背景の山肌のみに朝日が当たりそれ以外の町は静まりかえっていた。
その町中(まちなか) の路地奥から駅舎を撮影したが、近景の路地、中景の駅舎、遠景の山と城址、見事なトリニティな構成の中の駅舎の立地を他には知らない。背景の山を町並みで切り取ったので、借景としての山があたかも巨大な駅舎におぶわれているかの印象を持ってしまった。それだけこの駅舎にはスケールだけでは判断できない何か別の力を感じずにはいられなかった。山塊の迫り来る圧力に凜として佇んでいる。

今年はいつになく本業以外で鉄道旅をしたようだ。
南は熊本、北は福島と、ローカル線の旅を続けたがその多くの駅舎には二度と行くことも無いだろうし、その都度宿泊した地方都市にも二度と行く事は無いだろう町が多かった。
本業でも旅慣れはしているつもりだが、その多くは飛行機、新幹線、車と鉄分を意識し、吸収した感も無かったが、今年のローカル線の旅は鉄分を過度に吸収する旅になったようだ。ブレーキの軋(き) しむ音、ポイントを渡るレール音、その度に鉄分を吸収していた訳だ。
こうなると年明けの血液検査が楽しみになってきた。結果は鉄分数値大!

(posted on 2024/12/9)

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