愛知県 JR東海 中央本線 定光寺駅
玉野川(庄内川)の断崖絶壁にへばりつくように建てられた定光寺駅(じょうこうじえき)。もともとは信号所としてスタート。大正9年に仮停留場となり、その後、大正13年に「定光寺駅」へ昇格したという。名古屋市から岐阜県多治見市へ抜ける愛岐道路沿いに建つこの駅は、そのロケーションから鉄道マニアの間では秘境駅と呼ばれているらしい。駅ホームへのアクセスは階段のみ。お年寄りにはキツイ駅だな…そんなことを考えながら息を切らして上ってみる。振り向くと川沿いの僅かなスペースに古い民家が並んでいる。その向こうには城嶺橋(しろがねばし)を望むことができる。昭和10年に造られたというこの橋、コンクリートアーチがなんとも趣のある佇まい。ホームへ上る階段脇には絶壁と同化しているレトロな公衆便所がある。中を覗いてみると、柱に付いていた建築資産標には竣工・昭和11年12月と記載されていた。こちらも相当古い。
以前は川に沿って所狭しとみやげ屋や食べ物屋が軒を連ね、割烹旅館もでき宿泊する人も増えて大変繁盛したという。しかし、昭和の高度経済成長期に入り、押し寄せるモータリゼーションの普及と共に徐々に衰退し、現在に至るそうだ。地元民らしきお年寄りがそう語っていた。
(posted on 2024/11/13)