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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

新潟県 えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン 二本木駅

2024年8月2日。今日は真夏の太陽が照りつける中、車で二本木駅に向かいました。
新潟県上越市中郷区のこの小さな駅は、周囲ののどかな風景と相まって、訪れる人々に静かな安らぎを与えてくれます。

車を駅前の駐車場に停め、歩いて駅舎に向かいました。
駅前の八重桜はすでにその華やかな姿を過ぎ去り、青々とした葉が揺れています。

駅舎について
駅舎に一歩足を踏み入れると、1910年(明治43年)築の歴史的な建物が出迎えてくれました。
この駅舎は開業前年に建てられ、修繕を重ねながら供用されています。
妙高はねうまラインでは、路線開業時の駅舎が現存する唯一の駅です。

ホーム上屋について
駅舎の向こうに見えるホーム上屋を撮影するため、地下通路を通ってホームに向かいます。
1941年(昭和16年)から1942年(昭和17年)にかけて造られたこの通路も、戦前の鉄道の一端を感じさせます。
階段を上がり、ホームに出ると、鉄骨造の上屋が静かにそびえ立っていました。

カメラを構え、その全貌をフレームに収めます。上屋の柱に使われた古いレールが、年月を重ねた鉄の風格を放ち、
屋根を支える梁の曲線が美しい。上屋の下に立ち、見上げると、その構造の巧妙さと強さを改めて感じることができます。

この写真に写る二本木駅のホーム上屋は、柱の色が淡いピンクと白に塗られ、中央に一本だけ鮮やかな緑色の柱が目を引きます。
これは1937年(昭和12年)に建造されたもので、古いレールを再利用した鉄骨造であり、時の流れを感じさせる風合いが残されています。
特に柱に使われた大正12年の米国製レールや昭和4年の八幡製鉄所製レールは、その時代の工業技術と美意識を今に伝えています。

このホーム上屋は駅舎と同じ、2019年9月10日に登録有形文化財(建造物)に登録されました。
そのため、この場所が持つ歴史的価値は一層強調されています。
文化財としての保護対象になったことで、これからも長く保存され、訪れる人々にその歴史を伝え続けるでしょう。

真夏の陽射しが強く照りつける中、上屋の影が心地よい涼しさを提供してくれる。
金属板が日差しを受けてきらめく様子を写真に収めると、その美しさが際立ちます。
シャッターを切るたびに、上屋の歴史が一瞬の中に刻まれていくのを感じました。

このホーム上屋は、ただの駅の設備ではない。二本木駅の歴史と、ここを訪れる人々の思い出を支え続ける存在です。
その風格と温かみを、写真を通して少しでも多くの人に伝えられたらと思います。

二本木駅のホーム上屋と駅舎は、その歴史的価値と美しさを兼ね備えた場所です。この撮影日記を通して、その魅力が伝われば幸いです。
次は秋に訪れたいと思います。新しい季節、新しい景色を、このホーム上屋とともに写真に収める日を楽しみにしています。

参考:文化遺産オンライン(https://bunka.nii.ac.jp/) 

(posted on 2024/8/7)

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