NO PHOTO NO LIFE ㊻
SONY FX30とS-Cinetoneで撮るMV
~工藤江里菜 新曲「風花」解禁~
先日、親交あるアーティスト「工藤江里菜」さんの新曲がリリースされたわけだが、そのプロモーションとして用意されたMVのビデオディレクターとジャケットのスチルを担当させて頂いている。
今年の10月下旬に神奈川の西湘から湘南地区を中心に5日間かけて行われたミュージックビデオ撮影だったが、3曲の製作のうち、12月8日に新曲としてリリースされた「風花」という曲の発売に伴って第1弾が公開された。
今回はそんなミュージックビデオ撮影に関する話。
SONY FX30とピクチャープロファイル「S-Cinetone」で、ほぼ全編撮影を行った感想をお伝えしようと思う。
ペイロード2.2㎏のジンバルで運用可能な圧倒的コンパクト設計
今回の「風花」という曲のMVは歌詞の世界観から主人公であるアーティスト工藤江里菜さんが当てもなく散歩をするという情景を描く事が中心として絵コンテが練られた為、ジンバルを多用した撮影が多くの割合を占めており、僕の所有するマンフロット社のMGV220を使用したわけだが、ペイロード2.2㎏の小型ジンバルにも関わらず、SONYさん公式データで公表されているバッテリー及びSDカード込みで646gという圧倒的なコンパクト設計によりジンバル機能を十二分に発揮できた。主な組み合わせで使用したレンズSEL15F14Gの219gというコンパクトサイズからも大きな恩恵を受ける事になる。
アクティブ手振れ補正とブリージング補正による安心感
そして上記のレンズSEL15F14Gはその軽量のメリットだけでなく、通常の手振れ補正よりも更に強い「アクティブ手振れ補正」という機能とフォーカス移動の際に発生する画角変化を最大限に抑える「ブリージング補正」機能に対応しており、Gレンズである高精細な画を確保しつつ、AFを使用したワンオペ撮影の大きなサポートとなった。
注)上記機能使用時は画角がほんの少し狭くなる
考えられた背面レイアウト
デザイン面からも、とても使い勝手が良かった点として背面のホイールボタンの左右にゼブラとピーキングが初期設定で割り振られており(カスタマイズで変更も可能)湘南海岸公園の夕刻に日没までの時間を追いかけて撮影を進めていく中で、常にゼブラの確認が必要だった為、(理由は後述)本当に使い勝手が良かった。
敢えてログ撮影でなくS-Cinetoneで撮影
今回、スキントーンの美しさでの定評とポスプロにおける経費面や作業工程の圧縮のメリットに期待をかけて敢えてログ撮影ではなくピクチャープロファイルのS-Cinetoneを用いての撮影を選択した。もちろんダイナミックレンジにおいてログ撮影とは明暗差におけるレンジ幅は劣るものの、その映像の美しさには本当に驚かされた。
ちなみに「風花」の撮影は4k/4:2:2ではなくFull HDの4:2:0での撮影でこの美しさなわけなので、理論的には、まだ更に映像美のポテンシャルが大幅に残っている事になる。
S-Cinetoneの試験運用は夏から開始して、多くの利用者の皆さんが言うように、輝度がやや低めの方が彩度をリッチに表現できる事が自分でも分かっていた為に、主役となる被写体の露出には注意を払った。
そこで先ほど述べたゼブラ表示が欠かせなかった訳である。
被写体において「70程度のゼブラ表示の時」に描いてくれるスキントーンが僕においても好みの画であった為、刻々と日没へと向かっていく湘南海岸での撮影には、ヒストグラムだけでは計りずらい任意の部分で露出設定ができるゼブラの機能が必要不可欠だったわけである。
その他フォーカスマップ等の機能も!
その他にも、フォーカスマップなどピンの前ボケと後ろボケを色で分けて更に濃淡で表示を行ってくれるような機能もリハーサル時においてとても重宝した機能だった。
これまでα(アルファ)系のカメラを使用してきて、今年初めてCinema Lineのカメラを導入しての現場だったが、Cinema Lineという棲み分けを行っている理由がよく分かった。そしてCinema Lineにおいてはエントリー機であるFX30を使用した多くのカメラマンはFX6を使ってみたい衝動に駆られるのではなかろうか。
当スタジオも2025年におけるFX6の導入の検討を始めている。
ただ、用途は多少違えど先ごろ販売開始となったPXW-Z200も捨てがたい、、、
ニーズの多様化の対応に迫られるフリーとしては、とても悩ましい選択だ。
鵠沼海岸駅から県立湘南海岸公園にて撮影した当MV「風花」
アレンジャーやミックスなど、業界のそうそうたる音楽家がサポートしている工藤江里菜さんの楽曲を聴きに、是非YouTubeチャンネルの方へ遊びに行かれてみて下さい。
ピアノ弾き語りシンガーソングライター
工藤江里菜さん 各公式
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(posted on 2024/12/20)
Writer: 西田慎太郎