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日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

新潟県 JR西日本 大糸線 小滝駅

2024年8月2日。夏の日差しが山々を照らし、風が緑を揺らしている。私は小滝駅に降り立った。
静寂に包まれたこの駅は、まるで時間が止まったかのようにひっそりと佇んでいた。

駅舎の古びた木材は長い時の流れを感じさせ、その背後には深い緑の山々が広がっている。
この場所には、何もないようでいて、すべてがある。青い空、古びた駅舎、そしてその背後にそびえる緑豊かな山々。

人々の喧騒から遠く離れ、ただ風と木々の音だけが響いている。
この駅に足を踏み入れた瞬間、その静けさが心に染み渡るように広がっていった。

駅舎の看板は風雨にさらされ、文字はかすれかけている。
それでも、この場所には失われた時間が流れているのだと感じる。
ここでは、すべてがゆっくりと、静かに、確かに存在している。

小滝駅は、過去と現在が交差する場所であり、時間の流れが止まったような感覚を覚えた。
しばらくの間、私はこの静寂の中に身を置いてみた。

風に揺れる木々の音が、まるで遠い昔の記憶を呼び起こすかのように優しく耳に届く。
この駅が抱えてきた歴史や、そこに隠された人々の想い。それらすべてが、今もこの場所に静かに息づいているのだ。

背後にそびえる山々は、まるで永遠に続く時間の象徴のように、ただそこにある。
私はその風景を目に焼き付け、カメラに収めた。この瞬間が、いつか失われるかもしれないという思いを抱きながら。

小滝駅から少し離れると、ヒスイ峡や高浪の池といった自然の美しさが広がっている。
しかし、私はここで少しの間、ただ静かに佇んでいたかった。
この場所の静けさと、その中に秘められた深い物語に耳を傾けたかったのだ。

小滝駅。ここには、かつての日本が、静かに息づいている。風に揺れる木々の音、遠くから聞こえる川のせせらぎ。
それらすべてが、失われた時間を、今もなおここに留めているかのようだ。私はその中に身を委ね、この場所の静寂と美しさを心に深く刻み込んだ。

(posted on 2024/8/13)

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