日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

エッセイ
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彷徨のイスタンブール 渡辺重任

見知らぬ街を歩きながら何かしら心に残るものを留めようとするのだが、満足する結果には至らぬまま時だけが過ぎてしまう。
この街は二度目でほんの少し要領がわかったような気もしながら、やはり何もわかってはいない。また訪ねる時のために街ごとの匂いくらいはかいておこう。

地下鉄駅から歩いて回れる範囲ではあるが、何処にでもあるわけではない姿を求めてさまよってみる。
路地に迷い込み何かを探すような素振で行きつ戻りつを繰り返し、本当に方向も自分の居場所も判らなくなってしまった。今はこの地区にいるはず、というのは判っている。しかしこれで戻れるはずと思ったところに辿りつかない。
冬の短い日が暮れ、不安を覚えたときようやく携帯電話をもっていることに気づいた。

コンパスを使ってみるが何でだろう、かなりいい加減な動きを示す。一瞬正しい方向を示しそのまま確認しながら歩き始めるとぐるりと方向を変える。現在地は何となくわかったが、方向が定かではない。1キロほど違った方向へ進み、人に聞くしかないと悟った。学生のような英語を勉強してそうな人を探さなくてはならない。こちらも片言だが、ほとんど英語は通じない。雨がふるバス停でインテリっぽい人を見つけた。
地図を差し出し「ここはどこ」と聞いてみた。歩き始めた場所からかなりはずれている。でもこれで帰れる。
グーグルマップもここでは妙な動きをして使いものにならなかった。
今日の彷徨はアジアの西端イスタンブール、カドキョイの街のことである。

写真は他の地区のものです。

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(posted on 2018/4/28)

渡辺重任

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