日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

好きな仕事 根本健太郎

大学の写真学科4年時、就職課でたまたま建築写真事務所の求人を見つけた。建築にたいして興味は無かったけれど、条件が良さそうだったのと、オシャレ雑誌で建築特集が組まれているのなんかを見て、今波にのっているのは建築なのかもと勝手に思い込み、応募したら受かってしまった。

入社前の3月から、地獄のアシスタント業務が始まった。自分が想像していたのはストロボが煌々と輝き、綺麗なモデルさんがいてオシャレで素敵な麗しい現場。
が、現実は泥だらけ埃だらけの建築現場。プレハブの現場事務所。イカつい職人さんたち。カメラマンから怒鳴られ、職人さん監督さんと板挟みにされ、犬の小便のかかったカラーコーンを何十本も移動し、駐車車両の移動をお願いすればドライバーから罵倒され、スーツでの営業研修中にも呼び出され、濡れた床を靴下を雑巾代わりにして拭いた。毎日、駅まで30分歩き始発に乗り、帰りは終電だった。常に眠かった。疲れすぎて大好きな缶ビールも半分しか飲めなくなっていた。そのうち肺に穴が空き、入院した。

「こんなはずじゃなかった」と思う間も無くカメラマンデビュー。多くの方々にご迷惑をかけながら日々勉強させていただいた。おそらく今見たら言葉を失うような写真を撮っていたに違いない。すみませんでした。
国会議事堂の屋上に登ったり、空港の滑走路で拘束されたり、刑務所に閉じ込められそうになったり、色々な経験をした。ありがとうございました。

フリーになって5年目。先日、サラリーカメラマン駆け出しの頃撮影させていただいた建築家さんから数年ぶりにご連絡をいただいた。建築誌でクレジットを見て思い出してくれたらしい。とても嬉しかった。やっぱりこの仕事が好きだ。

(posted on 2016/4/21)

根本健太郎

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