日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

街歩き (24) 堀内広治

このコラムを書き始めて二年が経とうとしている。まだまだコラムで書きたい街は多々あるのだが、記憶は鮮明に思い浮かび、先々での情景もよみがえるのだが、如何せんその街の記録が無い事に気づきやむなく今回をして一応の区切りとしたい。無い記録とは所在不明の街角でのスナップ写真である。

最初に海外に出かけた高校生時の五十年弱前からどれほどの国や都市に出かけたのかは定かでは無いが、記録した写真が無いとは写真家の端くれとしてコラムに書く事すら恥ずべきなのだろう。直近の十年ほどで言えばデジタル撮影が多くなり、フィルム時代に比べると圧倒的に写真整理、保存に関しては安易に出来るようになり、自身でも完璧な整理だと自負している。それ以前でもフィルムで撮影をした作品に関しては完璧に整理はされているのだが、いざコラムを書き始めるにあたり旅をした先々の街や村でのスナップ写真を探し出すとなると、長年の無精さの付けが今頃にまわって来、我ながら嫌になってきた。これが月一のペースで巡ってくるとなると殆ど言訳に近いがこの辺りでご勘弁の気分になるのも致し方無い。

そこで最後ぐらいは過去のコラムで何度か述べてきた絵画、映画、鉄道と私にとっての三題ばなしで締めくくろうと書き始めてはみたが、これまた内容に見合った写真が見つからず最後の最後まで自身の無精さに付きまとわれ、それではと開き直りコラムに書けなかったが記憶は鮮明ながら記録が所在不明な街のショート、ショートを書くことにする。

メキシコの遺跡、声がけをした二人の日本人女性綺麗だった。これってナンパ? 酷寒濃霧のヘルシンキ港、シリアライン巨大船まるで彷徨幽霊船。ヌーメア、波にさらわれた息子のビーチボール、今何処。カイバル峠、峠を越えるとアフガニスタン。今は怖くて行きたくもない。バーミヤン、ファミレスではない本家。莫高窟は爆破され失われた。リヤド、ホテルで失敬したアラビック模様の灰皿。ボローニャ、街の郊外にあるスパゲッティ流しのレストラン。今も謎だらけ。タンタン、この先は紛争中の西モーリタニア。ダマスカス、世界最古のウマイヤモスクに大感動。サヌーア、30年ほど前は観光客も沢山居たのに。アブダビ、ホテルのテレビで知った日航ジャンボ事故。リロングウェ、マラウイの首都。マラウィも知らないよね。シエナ、大好きなS、マルティーニの壁画。そのまま持って帰りたい。ミラノ、霧のナビリオ運河。須賀敦子さん大好きです。ヴェネチィア、ジュデッカ運河、オッパイ橋、インクラービリ、須賀敦子さん大好きです。ブカレスト、ノルド駅の治安の悪さ半端ない。バンコク、ハポン通り。これ以上書けません?ベルリン、1ユーロ足してでも食べる価値あり屋台のカレー味ソーセージ。サンタバーバラ、留学先の娘の部屋、我が家のリビングより広くてガックリ。シカゴ、連日の暴飲暴食の付けで痛風再発。ドレスデン、行った先の美術館、フェルメール、日本に貸し出し中。ポートモレスビー、ラバウルを思い出す。オーランド、泊まったホテルポルトフィーノ良かったです。コロンボ、三日間のバッケージミッシング。コペンハーゲンで見つかるが仕事できず観光三昧。ナザレ、海辺のタブラオで聴いたファド聞かせたい。カイロ、同行の学生が詐欺にあい一悶着。タシケント、地下鉄に乗り、鉄道博物館にも行き何しに行ったの?ローマ、映画「終着駅」のロケ現場テルミニ駅を一日中歩き回る。アルル、映画「シャンボンの背中」で悲恋の結界となった駅の階段を見つけ一人大興奮。タオルミナ、映画「グランブルー」でジャンレノが食したマンマのパスタをロケ現場のレストランで試す。味より地中海の絶景にモルトヴェーネ。ダラダラと長くなったがお付き合いに感謝、感謝!でも最後にもう一カ所。アレッツオ、PDフランチェスカの壁画にいつ行っても大興奮。ピアッツァ・グランデで自転車の2人乗りをしてみたい!この映画判る?

最後になるが二年間取り留めの無い拙文にお付き合い頂いた一握りの読者に感謝を表します。
懲りずに街歩き再開をお待ち下さい。

(posted on 2019/8/6)

堀内広治

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