日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

街歩き (13) ハバナ(キューバ) 堀内広治

BS放送の番組で「2度目のパリ」 「2度目のニューヨーク」等と題した一風変わった旅番組があり、私が旅した街がタイトルにあると録画までして興味深く見ている。内容は若いタレントが最初の訪問では訪れる事は出来ないであろう正しく2度目、数度目の訪問で推奨出来る観光地、現地の人が日常通うレストラン、シヨップ、裏町等で人達との交流をはかりながら訪ねる旅番組だ。

そこで今回の街歩きはキューバの首都ハバナについて書いている。キューバには私が通っている大学の学生達との研修旅行で数年前に訪れている。今回は正しく「2度目のハバナ」気分で前回訪れなかったハバナ市内のこれぞキューバを探そうと気合の入った旅にしたかった。
前回はメキシコシティーでのトランジットで入国したが、メキシコ出国時の煩雑さ、コネクションの悪さに閉口した事を思い出しもう一つのルート、トロント経由での入国に切り替えた。

今回は息子と2人きりの完全なプライベート旅行だ。
キューバが初めての息子は早々に地方都市へのエクスカーションに出かけ、5日間は完全な「2度目のハバナ」を満喫する予定だ。
滞在するホテルも革命前から営業しているコロニアル様式の有名なホテルを予約し、部屋からは紺碧のカリブ海が窓いっぱいに広がっている。なかなか上々のすべりだしだ。

今回の旅は特にそうだが、現地のマニアックな情報は観光案内所よりもホテルのコンセルジュに聞くのが間違いない。
そこで得た様々な情報から前回行かなかった観光地巡り、ショップ巡りをして2日目で気づいたのが、キューバ、特にハバナの街はゲバラ、ヘミングウエーの名前を売りにした名所、ホテル、ショップがやたらと多いことに驚いた。ゲバラで言えば、革命時に鉄道爆破をした鉄路がそのままの状態でさび付いて保存され、多くの観光客、それに伴う土産物屋が軒を連ね、ゲバラの第二住宅、第三住宅までもが観光地化され、はっきり言って異国人の私にはどうもピンとこなかった。食事に入った店ではヘミングウエーが夜な夜なのんだくれていたテーブルが客を待っている。あるホテルの部屋では彼が長期滞在した部屋を小さな記念館に改装している。彼ら絡みの色々な名所?が市内いたる処に点在している。

これでは私がテレビで見て試したかった「2度目のハバナ」には程遠く、くだんのコンセルジュに駆け込み違った視点での訪問先を提案してもらった。それが葉巻工場、ラム酒工場だった。双方ともキューバの国益産業で国営工場でもある。結論から言えばこれぞ「2度目のハバナ」に相応しい興味深い経験をした。特に葉巻工場では私物、カメラ以外にもスマホまでも持ち込みができず、ガイド同行での見学になる。内部は体育館ほどの大空間に女子従業員が黙々と葉っぱを巻く作業に励んでいる。中には一本数万円の値が付く逸品もあり、以前は製品の横流しが横行し今日のセキュリティの厳しさになったらしい。一番驚いたのは此処の従業員全員が国家公務員で、ハバナ市内の医師達と同等の給料を貰っているらしい。ラム酒工場でも同じような話しを聞いた。

ハバナ滞在4日目でやっと今回の旅の目的が達せられたようで、翌日には同じ情報源から聞き出した共産国ならではの配給所にも出かけてみた。日用品全てがこの配給所で支給され、肉、野菜、卵までもが無償で入手出来る。此処でも期待通りの興味深い光景を目に出来た。

やはり今回も困ったときのコンセルジュになってしまったが、そのおかげで「2度目のハバナ」を満喫し「一度でよかったハバナ」にならずに安堵した。

1
2
3
4
5
6
7
8
9

(posted on 2018/10/10)

堀内広治

Writer:

back to top of this page
TOP