日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
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街歩き (4) フェズ (モロッコ) 堀内広治

今回のモロッコへの旅は空路パリからリゾート地として知られるアガディールへ入り、名前だけは立派なロイヤルモロッコ航空の六人乗り単発機に乗り換えまずフェズに向かった。上空から見るフェズの街は強烈な太陽光の下光り輝きまさにカーサブランであった。学生時代にスペインからジブラルタルを渡りタンジェに着きバスでフェズに来た記憶は有るのだが詳細は殆ど記憶に無い。

モロッコと言えばマラケシュとフェズが二大観光地として名を馳せているが、前者は平坦な地に築かれているのに対しここフェズはかなりの高低差がある地に築かれているため、街の形態の面白さは圧倒的にフェズに軍配が上がる。現地の日本人でさえ目的地に早く行きたい時などはたまにガイドを連れて行くらしい。土地の形態が故のスロープ、階段、トンネル、暗渠、二重構造の小路等まさに迷宮都市の名をほしいままにしている。歩いていると実に楽しく、上がったり、下がったり、曲がったり、戻ったりしながら目的地を目指す。
今回は時間に少しの余裕が有りガイドも雇わずに街の最深部に在るタンネリを目指す。まさにメディナの迷路に挑戦の意気込みであったが、通常半時間ほどで行けるところに倍以上の時間を費やし、しかも体感温度は40度、散々なメディナへの挑戦になった。

タンネリとはフェズ川のほとりにあるなめし革の染色人街で、大人二人が優に入る染色桶に色とりどりの染料が満たされ、職人達がその中に入り手作業で革を染め付けている。かなりの重労働だろうが彼らは黙々と作業に勤しんでいる。染め上がった革を周りの壁に張り付けるのだが、紺碧の青空の下、赤や黄色の染色革のコントラストが実に見事だ。

この後タンネリを後にメディナのモスクに戻るが、この地のモスクは非イスラム教徒の入場は拒まれ内部を覗き見る事しか出来ない。中央アジアや中東諸国のモスクに比べ相対的に小ぶりで、マドラサ規模のモスクが多いような印象を持った。但しいかに小ぶりであってもアラビックの装飾は一級品なのには感嘆する。

さてこの後スークへ向かうが此処で大げさに言えば言葉では言い表せない程の売り物を目にしてしまった。目にしてしまった以外にその時の感情を表す言葉が未だに見つからない。ズバリ猿の生首だ。以前見た映画インディジョーンズで、確か猿の脳みそを食するシーンがあったような記憶がよみがえり、この生首はまさに食用なのかと訝った。それも小ぶりの生首が6匹?6頭?板の上に並べられている。とっさにカメラを向けては見たがそれよりも早くに売り手とおぼしき老婆にまくし立てられ、その勢いに圧倒されカメラをしまってしまった記憶がよみがえってきた。気後れ以外のなにものでも無い。
現地の人曰く多分食用でしょうとの事。

そんな2日間のフェズの滞在だったが、明日からはアトラス山脈を越え四駆のジープへ乗り換え最初を撮影地であるモーリタニア国境に向かう二週間の撮影が待っている。

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(posted on 2018/1/10)

堀内広治

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