日本建築写真家協会

Japan Architectural Photographers Society

コラム
column

キューバ紀行 堀内広治

この夏86カ国目の訪問国になるキューバに旅をしてきた。
キューバといえば、先ずはチェゲバラ、カストロに代表されるキューバ解放に尽力した革命家達。ヘミングウェイも思い出すだろう。文化面で言えば、サルサ音楽に興じる底抜けに明るいカリビアン。又、バハマ産の良質な葉巻も大きな外貨獲得の資金源であろう。

今回はそのバハマから300kmほど東南に位置する古都トリニダの街を訪れるのがこの旅の目的であった。この街はその昔、多くのアフリカ人奴隷の一大市場で栄え、街の郊外にはその奴隷達を酷使し巨万の富を築いた農場主達のプランテーションが今も一面に広がっている。奴隷達を監視した物見塔も現存し、私たちが訪れた日は土砂降りの雨のせいか、以前訪れたクラクフ郊外のアウシュビッツとは違った寂寥感に苛まれた。奴隷達が18時間の労働を終えタコ部屋同然の部屋に帰っても足枷は外せなかったらしい。此処では決して死ぬことが許されなかったようだ。アウシュビッツは死への施設、此処は人間の尊厳を剥奪する施設である。

街の中心に戻るとその労働力で巨万の富を得た農場主達が贅を尽くした邸宅跡がホテル、レストランに様変わりし多くの観光客の憩いの場と化していた。
街は世界文化遺産にも指定され栄華を極めた時代の面影を色濃く残し、キューバ観光のハイライトと言っても過言ではない。多くの観光客がモヒート、ダイリキに代表されるラムベースのカクテルを堪能し、土産物を求め夜遅くまでそぞろ歩く多国籍の観光客を見ていると、自身も含めてであるが、つい100年前までこの街の繁栄を支えていた多くのアフリカ人奴隷達の悲惨さを考えずにはいられなかった。

旅の最後にバハマに戻り、サルサ音楽を聴き、アメ車のオールドカーにも乗り、ナイトクラブにも出かけてみたが、トリニダの負の歴史を引きずってきたようで、同行の学生達も含めなかなか陽気なカリビアンの中には入っていけなかった。

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(posted on 2016/10/25)

堀内広治

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